本学教員の論文が国際的な学術論文誌「Learning and Motivation」に掲載

本学教員の論文が国際的な学術論文誌「Learning and Motivation」に掲載

 人間教育学部の二瓶正登講師による研究グループの研究成果が、国際的な学術論文誌であるLearning and Motivation(学習と動機づけ)誌に掲載されました。

 この論文は社会的な場面で過度に不安や緊張を感じる「社交不安」という状態像に関する基礎研究です。社交不安に対する心理的支援法として「社交場面で嫌なことはそこまで起こらない」ことを体験的に学んでいくエクスポージャー療法と呼ばれる方法があります。この方法は社交不安の減少に非常に効果的であるものの、支援場面を離れて日常に戻ると減少した不安が再発してしまうことが報告されてきました。その再発の原因として「支援場面と日常では部屋や場所といった周囲の状況が大きく異なる」ことが強く影響していると考えられていますが、その基礎研究は多くありません。
 そこで本研究では、周りの状況が変化すると再び不安が出現してしまうのかを恐怖条件づけと呼ばれる方法を使って検討しました。この結果、社交不安は一度消えた後でも周囲の状況が変化すると容易に再発してしまう可能性が基礎研究として示されました。加えて、こうした不安の変化や再発の程度が数理モデルによって扱える可能性も示されました。この結果は、社交不安の状態像の解明や、再発防止に必要な支援法の確立に役立つと考えられます。

【論文情報】
著者名:Masato Nihei, Daiki Hojo, Noboru Matsumoto, & Kosuke Sawa
論文名:ABA, ABC, and AAB renewal effects and individual differences of learning on fear conditioning using social stimuli
論文URL:https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0023969023000668